日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年4月21日オンラインコミュニケーションを活性化する


★オンライン会議の改善は重要なテーマ


オンライン会議はすっかり世の中に定着した感があります。私は会議を効率的・効果的なものにするファシリテーションセミナーの講師を長年勤めています。そのセミナーの受講生に尋ねると、ほぼ全員がオンライ会議を行うことがあると答えてくれます。
しかし、オンライン会議と対面で行う会議のどちらがやり易いかと尋ねると、多くの人が対面の会議の方がやり易いと答えてくれます。確かに対面の会議に比べてオンライン会議は話しにくいし、黙っている時間が長くて盛り上がらない場合が多いようです。
私は常々、日本全体の生産性を向上させるためには、会議の時間短縮や効率化が重要なカギになると思っています。そういう意味で、オンライン会議を効率的・効果的なものにすることはどの会社にとっても重要なテーマと言えるでしょう。
そこで、今回はオンライン会議の活性化について解説します。


★オンラインでは『場』が作りにくい


まず最初に、なぜオンライン会議では話しにくいし盛り上がらないのか、ということについて考えてみましょう。
オンライン会議を行う場合、多くの人は自宅または会議室など自分1人の場所で会議に参加しています。プライベートな空間に身を置いているので対面の会議よりも気を使わなくて済みます。そうすると緊張感はどうしても薄くなります。その結果、会議が面白くないと感じると簡単に集中力をなくしてしまうのです。また、パソコンを見ている状態はテレビを見ているのと同じ感覚になります。参加者というよりも視聴者という意識になりがちなので、これも集中力を弱める要因となっています。
実際、私も以前自宅からオンライン会議に参加している時、自分の声がかなり低くてささやくようになっていることに気付いたことがあります。数人が出席している会議だとわかっていても私の意識はいつもの部屋にいるという感覚に支配されていたのです。こんな話し方ではどんなによい意見を言ったとしても、聞き手は「この人は話すのが面倒くさいのかな?」「本当にそう思っているのかな?」と思ってしまうでしょう。
一方、対面の会議では数人の人が同じ部屋にいるので、自然と意識も会議モードになります。意見を言うときも参加者に自分の考えを伝えよう、という意識が働きます。

要は、オンライン会議では、緊張感のある『場』が作りにくいのです。このことが積極的に参加しよう、進んで発言しようという気持ちを薄くしてしまっているのです。
では、オンライン会議を活性化させるにはどうすればよいのでしょうか?

 



★敢えて役を演じる気持ちで話す


私は以前から、仕事をする場面ではそれに相応しい自分を演じなければならないと思っています。家にいる時の私は気持ちの赴くままに振る舞うことが多いです。しかし、職場では与えられたポジションなどに相応しい言動を意識して行っています。これと同じように、オンラインで話す時も自分を演じることを意識してテンションを高めなければならないのです。
また、対面の会議で話す時も自分の意見に自信がなかったり、発言すること自体に苦手意識があるとテンションは低くなります。それがオンラインなら上に述べた環境も影響して更にテンションが低くなります。従って、自分を演じることを意識しながら、テンションをかなり上げた話し方を心がけるべきなのです。

とは言え、「テンションを上げよう!」と思っただけでは相手に伝わる話し方はできないかも知れません。オンラインで相手に伝わりやすい話し方のポイントを以下にお話します。


◎高い、大きな声で話す

まず、1つ目は「高めの大きな声で話す」ということです。
高めの声は明るい感じがして好感が持てます。オンラインではささやくような声でも相手には聞き取れます。しかし聞こえるだけで相手に訴えかける力は弱いのです。直接人と会って話をする場合でも声の大きさと声の高さは説得力に大きく影響します。大きな声は自信の表れです。ぜひ普段より高めの声で、かつ1.5倍から2倍くらいの大きな声で話してみてください。

 
◎カメラ目線で話す

2つ目は「カメラを見て話をする」ということです。
対面の会議やスピーチでも目線が下がったままの話は全く説得力がありません。政治家が記者会見でずっと原稿に目を落としたまま話している姿をよく見かけますが、見ている方は全く説得力を感じません。オンライン会議では画面に映る参加者の顔を見ながら話しがちですが、カメラはPCの画面の上についているので他の人から見ると目線が下がったまま話しているように見えてしまいます。
なので、他の人が「自分たちに話しているんだな」と思えるよう、しっかりとカメラを見て話してください。
但し、ずっとカメラ目線で話すと話す方も聞いている方も苦しくなってきます。半分以上、カメラを見て話すことを心がけてください。

 
◎発言(一文)を短くする

3つ目は、発言を短くすることです。
オンライン会議では、対面の会議よりも発言するタイミングがつかみにくいという問題があります。また、1人の人が長時間話していると、聞いている人は対面の場合よりも早く集中力がなくなってしまいます。
従って、発言する人は長々と話すのではなく、要点のみを端的に伝えるようにすべきです。また、発言する際は一文を短くすることにも留意してください。
「今の意見、私にはちょっと疑問がありまして~、そもそも今期の会社の方針に沿っていないと思いますし~、社員が納得しないようにも思いますし~」
この例のように文章を切らずに話すと、ダラダラした感じがしますし、発言が終わったのかどうかも分かりにくいです。
「今の意見には疑問があります。そもそも今期の会社方針に沿っていないのではないでしょうか。また、社員が納得しないとも感じています」
一文を短くすることで歯切れの良い聞き取りやすい話し方になります。また、他の人が発言するタイミングがつかみやすくなります。


★話を聞く側が留意すべきこと


ここまでオンライン会議での話し方について述べてきました。一方でオンラインでの場作りにおいては話を聞く人にも留意すべきことがあります。場作りのためには、話す人よりも聞く人の態度の方がはるかに大切だと思っています。以下、聞く人の留意すべきことについてお話します。

 
◎話を聞きながらうなず

まず1つ目は、カメラをオンにした時は発言をうなずきながら聞くことです。
つまり、意識的にリアクションをするということです。カメラをオンにすると発言者には参加者の顔の表情が見えます。その時、参加者が無表情だったり横を向いていたりすると、とても話しにくくなります。
なので、発言者が話しやすいように、あなたの話を聞いていますよ、ということをうなずきで示しましょう。「なるほど」と思ったらうなずきで示しましょう。疑問があるのなら、少し上を見て「う~ん」と考える様子を見せても良いでしょう。そうすると、発言者はちゃんと聞いてくれているな、と安心して話しができます。また、司会者も「皆さんうなずいていますね」「Sさんは少し疑問を感じているようですが」などと言えるので、会議を進行しやすくなります。
◎笑顔で聞く

2つ目は、できるだけ笑顔で聞くことです。
これもカメラをオンにした場合ですが、無表情で聞かれていると話している人は「私の話、気に入らないのかな?」と不安になるかも知れません。そうすると段々発言が少なくなり、活発な会議にならなくなってしまいます。聞き手の態度や表情は話す人に大きな影響を与えるのです。このことを意識して、努めて笑顔で聞くことを心がけてください。

笑顔やうなずきは、対面でのコミュニケーションでも威力抜群ですので、あらゆる聞く場面で留意いただきたいと思います。
◎あいづちを打つ

3つ目はあいづちを打つことです。
オンライン会議では通信環境がよくないなどの理由でカメラをオフにしていることもあります。その際はできればマイクをオンにしてあいづちを入れるといいでしょう。「うん」「なるほど」「ああ~」など。聞いている人の顔が見えず、声も聞こえない状態で話すのはとても大変です。「聞いてくれているのかな?」と不安になってしまいます。そういう時にあいづちがあると、とても大きな励みになります。大勢が参加しているミーティングでは個々の参加者があいづちを打つことは難しいでしょうから、司会者があいづちを入れるといいでしょう。


★コミュニケーション全判について体験的に学びませんか?


今回はオンライン会議をテーマにお話をしましたが、上に述べたことは対面でのコミュニケーションでも有効なことばかりです。対面でもオンラインでもコミュニケーションを取る場合は『場作り』がとても大切です。その際のキーワードは『相手ありき』です。日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーでは、この『相手ありき』の考え方をベースにコミュニケーションの取り方を徹底的にトレーニングしています。ぜひ受講をご検討ください!

 

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